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今回は、『垂れ蜜(たれみつ)』と『濁り蜜(にごりみつ)』についてのお話です。
みなさん、ハチの巣からハチミツを絞り出すときのイメージはどういったものでしょうか?おそらく遠心分離機のようなものをイメージされる方が多いのではと思います。
遠心分離機は世界中の養蜂で採用されている一般的な手法ですが、それ以外の方法でハチミツを絞り出す「垂れ蜜」と「濁り蜜」というものが稀に存在します。
今回は、お目にかかるチャンスが少ない、これらハチミツについてご紹介したいと思います。
垂れ蜜とは
伝統的なハチミツの絞り方で、「流出ハチミツ」と呼ばれることもあります。
簡単に言えば、「ハチの巣からハチミツが自然に垂れてくるのを待つ」というもの。ハチの巣に極力手を加えない場合もあれば、切り刻んでハチミツを垂れやすくする場合もあるそうです。
自然と流れ出てくるのを待つスタンスなので効率が悪く、経済性が良くないので、これをやる養蜂家さんは少ないのだとか。
メリット:独特の風味が出る
特にニホンミツバチのハチミツで垂れ蜜にする養蜂家さんが多いようです。
飼育が手軽でハチミツをたくさん作ってくれるなどの理由で、近年の国内外のハチミツ生産は大部分がセイヨウミツバチによるものですが、味に深みがあるとされるニホンミツバチのハチミツ生産にこだわっている養蜂家さんもいます。
ですが遠心分離機で絞り出すと、せっかくの風味が損なわれてしまう場合があり、そもそもニホンミツバチの巣は崩れやすく、遠心分離機での絞り取りが不向きな場合もあるそうです。
なぜ、垂れ蜜かは、以下の2点のようです。
- 日本種の巣は非常に崩れやすく、遠心分離機での採蜜は困難である。
- 遠心分離機で採蜜した日本種ミツバチの蜂蜜は、西洋種の蜂蜜に近い味になり、日本種独特の風味が無くなります。やはり、巣ごとつぶして、花粉や巣の成分が入った方がニホンミツバチ独特の蜂蜜になります。従って、分離器を使わず、垂れ蜜にするようです。
引用:趣味の日本ミツバチ|垂れ蜜と濁り蜜

デメリット:経済性が悪い
垂れ蜜があまり市場に出ない理由としては、
- 自然に流れ出るのを待つだけなので、時間がかかる
- 時間をかけすぎると不純物が多くなるので、量が採れない
の2点が大きいようです。
しばらく放置しておけば、当然それなりの量の蜜が流れ出してきます。が、不純物も混ざりやすくなります。色々試した結果、フタを切り取った瞬間に流れ出るものが良い感じだと思い、この方法で採取を行っています。
実際に保存してある生産データから確認すると、すべてのはちみつ採取量の2%から3%程度しか、垂れみつは得ることができません。引用:瀧養蜂場|瀧養蜂場のこだわりの一品「垂れみつ」について
「フタを切り取る」というのは、もともとハチミツはミツバチの巣の六角形の部屋の中に保存されているのですが、その部屋はミツバチたちによって蓋がされており、その蓋を切り取って保存されているハチミツを取り出す作業のことです。
↑上の画像のような作業ですね!

濁り蜜とは
濁り蜜は、垂れ蜜を採ったあとのミツバチの巣を煮沸して圧搾機にかけることで、再度ハチミツを絞り取ったものだそうです。(参考:趣味の日本ミツバチ|垂れ蜜と濁り蜜)
「濁り」という言葉通り、ハチミツの見た目はとても色が濃ゆいです。栗やソバのハチミツのような、黒に近い褐色をしています。
メリット:栄養が豊富
ミツバチの巣を丸ごと絞っているので、いろんな栄養素がハチミツに入っているそうです。
日本ミツバチの蜂蜜生産法は巣がもろいため、巣ごと掻き出して中にある蜂蜜・ローヤルゼリー・花粉・蜂の子・蜜ろうもろとも生でもしくは火入れをし、粗目のアミを通しただけのものでした(にごり蜜)。それゆえに栄養が豊富で、古来より「通」の人々の民間薬・滋養食として重宝してきた歴史がありました。しかし、その味は少々クセがあり、慣れない方もいたようです。
引用:藤原養蜂場|蜂の不思議-日本ミツバチ編-

デメリット:在庫がとても少ない
今では少なくなったニホンミツバチのハチミツ、かつ、通の人に好まれるもののためか、流通量が非常に少ないです。
代表的な通販モールのAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングで「濁り蜜」を検索してみましたが、商品の種類が少ない上に、どれも「在庫切れ」または「受注生産」になっていました…
Amazonでの「濁り蜜」の検索結果
楽天市場での「濁り蜜」の検索結果
Yahoo!ショッピングでの「濁り蜜」の検索結果
もし「在庫あり」になっていたら、かなりラッキーだと思います。

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一般的な遠心分離機
参考までに、遠心分離機を使った様子の動画もご紹介します。おそらく私たちが口にするほとんどのハチミツはこの方法で絞り取られたものでしょう。
参考:Youtube|ミツバチの採蜜(ハチミツ搾り)の様子
動画では55秒あたりから遠心分離機にかける様子が映っています。
ちなみに動画の40秒あたりで、フタを切り取ったところからハチミツが流れ出ている様子が映ってますね!垂れ蜜はこの流れ出たハチミツだけを集めたものです。

まとめ
今回は「垂れ蜜」と「濁り蜜」についてご紹介しました。
内容を見てみると、どちらも昔ながらのハチミツで、近年の高効率生産のハチミツの普及で存在がかすれてしまったハチミツのようですね。
それゆえ貴重なハチミツで、普段滅多に目にすることはありませんが、普通のハチミツとは違った味わいがあるようです。
スーパーなどで売っていることはほぼ無いと思いますが、養蜂場の直販店やハチミツのイベント会場などではもしかしたら目にすることがあるかもしれません。
お値段はちょっと高いかもですが、「超レアなハチミツ」として一度試してみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでくれて、ありがとう!
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