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「ミツロウ」と聞いて思い浮かべるものは何でしょうか?
人によってはカプセルのような粒々だったり、オーガニック石鹸のような塊だったり、あるいは固めのハチミツ、六角形のハチの巣ようなものをイメージする人もいらっしゃるかもしれません。
そうですよね。
でも上で挙げたイメージ例は全て、ある意味正しいんです。

はい。これはミツロウというものが様々な形で世の中に普及しているためです。
今回はそんな『ミツロウ』について、
- ミツロウってそもそも何?
- どんなことに役立つの?
- 健康や美容に効果があったりする?
- ハチミツとは何が違うの?
といったことについて解説させていただこうと思います。

ミツロウにはハチミツ由来のボツリヌス菌が含まれている可能性があります。1歳未満の赤ちゃんの手の届かないところでの管理・使用をお願いいたします。
もくじ
ミツロウとはどんなもの?

ミツロウ(蜜蝋・ビーズワックス・Beeswax)は、蜂の巣から作られます。
「蜂の巣」と聞くと六角形のハニカム構造を思い浮かべる方が大半だと思いますが、その蜂の巣はミツバチたちが分泌するロウ(蝋)によって建築されており、そのロウ成分を抽出したのがミツロウというわけです。
ミツバチからの贈り物という点ではハチミツと同じですね!
ただしミツロウを作るには、ハチの巣をお湯で煮て、さらに圧搾機でロウを絞り出す作業が必要になり、ひとつの巣から採れるミツロウの量はほんのわずかです。(量としてはハチミツの10分の1との話もあります)
そういった意味ではハチミツよりも作るのに労力がかかる代物でもあります。
ミツロウにはパルミチン酸ミリシル(ワックスエステル)という成分が含まれており、保湿効果が高いとされ、この成分は人間の肌にも含まれているため馴染みやすい、と言われています。
主成分がワックスというだけに可燃性です。火気にはご注意くださいね!
用途は様々で、食用・化粧品(リップクリーム・ハンドクリーム・基礎化粧品など)・ろうそく・家具や革製品のメンテなどなど意外と身近なところで使われていたりします。これは後述しますね!

はい。それは「未精製」か「精製」かの違いですね。
黄色っぽいものは「未精製」、白いのは「精製」されたミツロウです。
では次にその2つの違いについて解説しますね!
未精製のミツロウ
目に見えるゴミ(巣の残骸や昆虫の死骸など)を取り除いただけのミツロウです。
もともとはミツバチたちによって分泌されたものなので、ミツロウにはハチミツや花粉・プロポリスなどが含まれているのが普通です。
天然の健康成分が豊富に含まれている反面、特有の匂いがあったりするものもあります。
黄色いミツロウのメリット
- ハチミツやプロポリスなどの有効成分も含まれている
- 保湿効果などの期待値が高い
- 上質なものは甘い良い香りがする
- 精製されたものより少し安い
黄色いミツロウのデメリット
- 自然由来(蜂の巣にこびりついていた昆虫の死骸やカビなど)のいやな匂いが残っていることがある

それはですね、どうやら「いつ、ミツロウの抽出作業をするか」が関係しているそうです。
ミツロウ本来の匂いは、植物系やほのかに甘いものなど様々あります。それは、ミツバチが材料として食べるハチミツの違いで変わるものなのです。
(中略)
ミツロウは、養蜂家が最も過酷な労働を強いられる採蜜時に副産物として収穫されるものです。その疲れた身体は、巣をお湯で煮て圧搾精蝋器で濾過する一次精製の作業まではなかなか向いてくれないのです。大抵、巣は放置され、忙しい採蜜シーズンが終わってからまとめて行うことになります。
(中略)
その結果、色はあせ、巣の中に入っていた幼虫は腐り、腐臭をミツロウに染み込ませてしまうのです。さらに、花粉や薄い蜜が入った巣、採蜜作業中に雨にあたった巣などは、すぐにカビが生えカビ臭を付けますし、ミツバチの巣が大好物な蛾の幼虫が食い荒らし排泄臭を付けてしまうこともあります。大抵の養蜂家の皆さんは、外でその一次精製の作業を行うので、腐臭に気づきづらいのです。
引用:ハチの巣キャンドル|くさいミツロウとあたりまえなミツロウ
現状ではミツロウの採取はあくまで「ハチミツ収穫の副次的なもの」というところが多く、ロウの抽出作業も過酷で1つの巣からわずかしか採れないため、どうしても『あとでまとめてやる』になってしまいがちのようです。
もちろん、ハチミツを収穫してすぐミツロウの抽出にとりかかれば、嫌な匂いがしない(ハチミツの甘いいい香りだけする)上質なミツロウが採れます。

精製されたミツロウ
対して白いミツロウは、機械を使って「脱臭」「脱色」「ろ過」の精製処理をしたものになります。
別名「サラシミツロウ(白ロウ)」とも呼ばれますね。
このタイプのミツロウは、ロウの抽出作業タイミングなどは関係なく、ハチの巣に嫌な匂いが付いてしまっていたとしても、機械精製されるので匂いは残りません。
その反面、自然本来の栄養成分などは未精製のミツロウに比べると若干劣りますし、機械精製という工程が入るので価格も上がります。
白いミツロウのメリット
- 品質が安定している
- 嫌な匂いがしない
白いミツロウのデメリット
- 有効成分が少なめ
- 価格が少し高い
現状で市場に流通している多くのミツロウは、この白い(精製された)ミツロウのようです。
各地の養蜂家さんたちがハチミツを採取した後の巣を大手精蝋メーカーが買い取ってミツロウを生産する、という構図ですね。

ミツロウとハチミツの違い・共通点(効果、作り方、匂い)

ところでミツロウもハチミツも、なんだかどっちも美容・健康に良さそうな雰囲気ですが、どちらがどのようなメリットがあるのか漠然としがちですよね。
なのでここでは、そういった効果や作り方、匂いなど、両者の違いと共通点について表にまとめます。ご参考ください。
項目 | ミツロウの特徴 | ハチミツの特徴 | |
成分 | 主成分はロウ(ワックスエステル)で70%前後を占める。その中にハチミツ成分や花粉成分、プロポリスなどが少量混じっている。 | 主成分は糖(ブドウ糖と果糖がほとんど)で80%前後を占める。加えてビタミン、ミネラル、酵素、アミノ酸、ポリフェノール類などが含まれる。 | |
美容 | 違い | 美容目的でミツロウをそのまま肌に塗布することはあまりない。 人間の肌と相性の良いワックス成分が保湿効果をもつ。 多くはリップクリームやハンドクリームなどと混ぜられ、化粧品の「適度な硬さ・柔らかさ」を実現する成型的な意味合いがある。
| 殺菌力があるため、肌に直接塗ってニキビの早期改善を図ったり、アーユルヴェーダでは痩せ薬という位置付けて使われたりもする。 吸湿性(空気中の水分を吸収する性質)が高いため保湿効果をもつ。 ハチミツに含まれるビタミン類がメラニンの発生を抑え、肌細胞を活発にすることから、シミの防止(美白効果)が期待されている。 また抗酸化作用もあるため、食生活に取り入れることで、アンチエイジングにも期待されている。 |
共通点 | どちらも保湿力を期待されて化粧品に用いられることが多い。 | ||
健康 | 違い | 中世ヨーロッパなどでは、食用のミツロウ(コムハニー)を飢饉の際の栄養源として活用していたが、現在は健康目的で使用される例は少ない様子。 ハチミツ・花粉(ビーポーレン)・プロポリスなどが少量含まれてはいるが、期待値は不明。 もっぱら嗜好食品の傾向の方が強いかも。 | 単糖類が多くを占めるので、スピーディーな栄養補給ができる。 ハチミツの種類によって強弱はあるが、呼吸器・消化器・免疫系・オーラルケアなどに効果が期待される。 殺菌力があり、口内炎の治療や傷口の消毒に利用されることも。 |
共通点 | ミツロウにも少量のハチミツが含まれているので、どちらも自然の甘さを楽しむことができる。 ボツリヌス菌が含まれている可能性があるので、1歳未満の赤ちゃんにはNG | ||
作り方・用途 | 違い | 起源はミツバチのお腹にある「蝋分泌腺」から出た分泌液に、ハチミツや花粉などが混ざり合ってできたハチの巣の建築材料。 その巣を煮詰めてロウ成分を人工的に抽出したもの。 化粧品や食用(コムハニー)以外にも、ろうそくやクレヨンなどの生活雑貨、床や壁や革製品の磨き剤、樹脂滑剤などの工業用途など、用途はハチミツより広い。 | 起源は植物の花の蜜や樹液 それをミツバチが採取し体内酵素によって分解・化学反応させたもので、本来は働きバチたちの越冬の食料。 人間は基本的にはこれに手を加えない。 食用(生食・製菓材料・健康食品)と化粧品が主な用途。ヘアケア用品に利用されることも多い。海外では医薬用として用いられることも。 |
共通点 | どちらもミツバチの恩恵。人間がゼロから作り出すことはできない。 | ||
匂い | 蜜源の匂い(花や植物の香り)は微か。基本的に微かにハチミツの甘い香りがある。 未精製のミツロウの中には生物的な独特の香りがするものも。 精製された白いミツロウには無臭のものが多い。 | 蜜源を比較的強く感じさせる匂いをする。例えば、、、
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いろんなミツロウの利用
さて、ミツロウの概要について触れましたが、では具体的にどんな形で私たちの身の回りにあるのでしょうか?
ここからは、ミツロウの様々な形をご紹介して行きます。
原料としてのミツロウ
「化粧品やろうそくを自作したい」
という人向けに販売されているものが多いようです。上の画像のようにペレット(粒状)だったり、オーガニック石鹸のような見た目の塊だったり、あるいはペースト状だったりと、形は様々です。
野生のミツバチを捕獲するために使う養蜂家さんもいらっしゃるそうですよ。
海外から輸入したハチの巣を日本で精製する、というパターンが多いみたいです。

ミツロウを使った化粧品

ミツロウのもつ保湿力を活かした化粧品が多いです。
具体的には基礎化粧品、リップクリーム、ハンドクリーム、ハンドソープなどがあります。
基礎化粧品
例えばこのDHCさんのバージンオイルエッセンシャルクリーム。
肌ツヤはハリを求める人向けの商品ですが、成分のところをよくよく見てみると「ミツロウ」の文字があります。
水、オリーブ果実油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、BG、グリセリン、スクワラン、セテアリルアルコール、水添コメヌカ油、パルミチン酸セチル、ペンチレングリコール、ミツロウ、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ステアリン酸グリセリル(SE)、フェノキシエタノール、ステアリン酸グリセリル、トコトリエノール、キサンタンガム
引用:楽天市場|DHC楽天市場店
無香料・無着色・パラベンフリーで天然成分にこだわっている基礎化粧品には、ミツロウが含まれていることも多々あるようです。

天然の保湿成分ということで使われるのかな。
リップクリーム、ハンドクリーム
よく見るスティックタイプも多いですが、上の画像のようなシリンダーに入ったものも多いです。
スティックタイプは主に唇の保湿がメインですが、シリンダータイプは指ですくって唇・手・ヒザ・かかとなど、荒れが気になるところ全般に使えるものが多い印象です。
さらに上の画像のSANTE LABOさんのビーワックスクリームはヘアワックスとしても使えるみたいですね。
リップクリームにしてもハンドクリームにしても価格が1,000円くらいなので、お手軽なのも特徴。

食用のミツロウ

いわゆる「コムハニー」ですね。
コムハニーは
「ハチミツが絞り取られていないハチの巣のハニカム」
という言い方が正確でしょうか。
なので厳密に言えばコムハニーはミツロウとは言えないのかもしれません。ハチの巣のハニカムから抽出作業を経て得られたロウ成分が「ミツロウ」なので。
ただ、「食べるミツロウ」はコムハニーのことを指す場合がほとんどです。
これは国産・海外産いろんなところで採られたコムハニーが販売されています。
個人で消費するするというよりは、贈答用や引き出物用の商品が多い印象です。
ザクザク食感のあとにジワ〜っとハチミツが口の中で溢れ出す食感が、たまらなく美味しい逸品ですね!

贈答用でも4,000円くらいあれば、良さそうなものが手に入る感じかな。
ただしコムハニーにはハチミツが多量に含まれていますから、1歳未満の赤ちゃんには与えないでくださいね!
ミツロウのろうそく

今でこそ石油パラフィンのろうそくが主流ですが、産業革命以前のろうそくはミツロウから作られていました。
ミツロウからできたろうそくは、
- ススや黒煙を出さない
- ゆっくり燃える
- 火を灯すと、ほのかな甘い香りが漂う
といった特徴があります。
自作でも比較的簡単に作れるので、機会があればチャレンジしたいですね!

ツヤ出しワックスとしてのミツロウ
木工用(家具・まな板など)や革製品用、床のツヤ出しまで幅広く商品があります。撥水加工できるものもありますね。
天然のワックスということで、キッチン用品などにも使えるのが嬉しいですね。
素地の水分や油分を必要最小限に吸収して、素地本来の美しさを長持ちさせるのが特徴だそうです。

ミツロウのクレヨン
ミツロウを使ったクレヨンは有害物質を使っていない安心感のあるものが多いですが、その他にも通常のクレヨンと比べて、
- 発色が良く、透明感がある
- 重ねぬりしても色が汚くならない
- ベタベタしない
- 硬さがあり、幼児が扱っても折れにくい
などの特徴があるようです。ちなみに上の画像を購入した方のレビューを見ると、
- 1歳3ヶ月の子供の親です。普通のクレヨンは有害化学物質を使用していて大量摂取で中毒のおそれがあるのでなんでも食べてしまう子供のクレヨンは安全なものを選びたいです!うちの子口に咥えましたが、かじりはしませんでした、結構しっかりした硬さのようです。
- 1才半の娘が使っていますが、その年頃の子でも描きやすいなめらかさ。
がんがん叩きつけるようにしても全く折れないテクスチャー(重要)
紙以外のところに描いてしまっても水で落とせる(超重要)
口に入れてしまってもミツロウなので安心(超・超重要)- 一歳の孫の初めてのクレヨンとして購入しました。喜んで遊んでいます。紙以外にも描きたがりますが、表面がツルツルの本の表紙や机、棚などでは、消しゴムで簡単に消せます。手も汚れないし、減りも少ないです。
引用:Amazon|シュトックマー
といった感じで、小さなお子さんに安心して使ってもらえるものもあるようです。
それにしても、けっこう高評価ですね。

さて、ここまでで『ミツロウ』についてご紹介してきました。
普段何気なく使っているモノで、ワックスとかロウとか保湿とかが絡んでいる商品をよくよく調べたらミツロウが使われているかもしれませんね!
機会があれば、このブログでも手作り化粧品とかキャンドルをミツロウで作ってご紹介したいですね!
どんな香りがして使い心地はどんなものなのか、ちょっと気になります!

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