ハチミツの指紋 !? 偽物根絶のためにハチミツに含まれる花粉を分析・評価するシステム構築が進行中。

花粉のイメージ

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今回は偽物のハチミツの中でもタチが悪い『混ぜものをしているハチミツ』を排除できるようになるかもしれない取り組みのお話です。

ハチミツは偽物が多い』というのは頻繁に耳にする話ですね。

日本だけでなく、世界各国の市場に偽物が出回っていて問題視されています。

ハニウィキちゃん
どういうのが偽物になるんだっけ?

産地の偽装とか過剰な加熱処理をしているとか混ぜものをしているとかですね。

こういったハチミツは体に良くない物質が入っていたり、得られるはずの栄養素や風味がなくなっていたりしているので、消費者からは『騙された!』と思われる行為です。

しかし残念ながら、ある統計データによると、世界の偽装件数が多い食品でハチミツは不名誉な3位だったりします。(ちなみに1位はオリーブオイル、2位は牛乳)

そんな中2018年末に、ハチミツの中に自然に含まれる花粉を同定することで、混ぜものがされているか否かを判断できるようにする取り組みが発表されました。

ハチミツの指紋の照合』とも言える興味深い話題でしたので、ここでも紹介させてもらおうと思います!

そもそも、なぜ?どんなものが混ぜられている?

ハチミツを注ぐイメージ

混ぜもの』と聞くととても不安になると思いますので、最初に、ハチミツの偽物にはどんなものが混ぜられていることが多いかを以下に示します。

偽物に混ぜられているものの例

  • 砂糖
  • コーンスターチ
  • 水あめ
  • ライスシロップ
  • 別の種類の安いハチミツ

こういったものが混ぜられている場合が多いそうです。

要するに『安いものでボリューム増やして、利益を得よう』と考える業者が多いってことですね。

ガチガチの変な化学物質が意図的に混ぜられているパターンは少ないようですが、体に害が無さそうだからといっても期待を裏切るような混ぜものをされていたら、消費者としては納得できません。

ハニウィキちゃん
外から見ただけじゃ分からないし、厄介だね。。。

ハチミツの指紋:花粉

花粉まみれのミツバチ

ハチミツはご存知のとおり、ミツバチたちが植物の花の蜜を集めて作っています。

その過程で、ハチミツの中にはその植物の花粉が入り込みます。

人間の目にはただの粉にしか見えない花粉ですが、顕微鏡でよく観察すると、花粉は植物ごとに形が違うんです

花粉の顕微鏡写真の一例

花粉なんてどれも同じただの粉…と思いきや、電子顕微鏡で見ると、大きさや形は植物によってかなり特徴的。

画像出典・引用:日本科学未来館科学コミュニケーションブログ|続・あなたの知らないミクロの世界

上の顕微鏡写真のように、植物ごとに微妙に形や大きさが違うんですね。

つまりハチミツの中に含まれている花粉を分析すれば、どの植物からミツバチが作ったハチミツか=本当にラベル表記のハチミツか、がわかるってことですね!

別の安いハチミツが混ぜられていれば、この花粉が入っているのはおかしい!とわかります。

ハニウィキちゃん
花粉を分析して植物の種類はわかっても、余分な混ぜものされているかどうかは分からないんじゃない?

確かにそのとおりです(汗)

でも、混ぜものをしている=ハチミツの瓶の中の花粉密度が低くなっている、っていうことなので、ハチミツに含まれる花粉を分析するのは有効なんです。

ハニウィキちゃん
あ〜なるほど。花粉の『含まれる量』も見るのね。

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どうやって花粉を分析するの?

顕微鏡のイメージ
ハニウィキちゃん
でもさ、いちいち個別に顕微鏡でのぞいて花粉を見るの?
それって現実的かなぁ…

確かに1つ1つを人間の目で見て確認するのは、手間の問題もありますし、見間違いなどのリスクもあります。

なので、現在進められている花粉分析システムは、

機械学習による分析

だそうです。

機械(コンピュータ)が自動で花粉の「」と「」を判別してハチミツに混ぜものがされているかどうかを判定する、というのが基本原理。

混ぜものがされていない「本物のハチミツ」には、どんな形の花粉がどのくらいの量含まれているか?をデータベースに保存しておいて、検査対象のハチミツをそれに照合するみたいです。

The system works in two parts. First, a pollen identification neural network detects and identifies the botanical origin, density, and distribution of present pollen. This data is then used in the authentication network, which decides whether the honey is what it says it is.

(訳)
システムは2つの部分で機能します。 第一に、花粉同定ニューラルネットワークは、現在の花粉の植物起源密度、および分布を検出および同定する。 このデータは認証ネットワークで使用されます。認証ネットワークは、蜂蜜がそれが言っているものであるかどうか(表示されているとおりか)を判断します。

引用:FAST COMPANY|Machine learning is a sweet way to tell if your honey is fake

実はこのシステム、学生3人が立ち上げて2018年末に発表したみたいです。

ハチミツの偽物を見破る仕組み作りは世界各国で進んでいますが、どれも手間と費用がかかるものがほとんどで、今回発表された花粉を判別する仕組みは、安価にシステムが構築できて確実性も高いと評価されています。

いろんなハチミツでテストしたところ、かなり精度の高い結果を叩き出したそうですね。

そしてテストを重ねていき、機械学習(トライアンドエラー)を繰り返してデータを蓄積して、あとは実際の売り物のハチミツを瞬時にデータ照合して真偽を判断する、というシステムを目指しているとか。

ハニウィキちゃん
中身を聞くと、そんなに画期的!な感じはしないね。

そうですね。

でも高度な知識を持った専門家が「花粉を分析する」ことを考えると、

「花粉のDNAを抽出して、、、1cm3あたりの花粉密度の正規分布は、、、」

とか正確性を重視するあまりメンドくさいことを考えてしまいがちなのかもしれません。

実際、今回の学生の作ったシステムは、

花粉の形をざっくり3種類(丸型、三角型、尖った型)に分けて、顕微鏡で密度を観察するだけ

な簡素なものだそうです。それで結果的にはハチミツに混ぜものがされているかどうか?を判断するには十分だということがわかったんですね。

ハニウィキちゃん
「小難しい手法が常に正しいとは限らない」ってことね〜

ただしこのシステムはまだ完成ではありません。

ハチミツの混ぜもの(混入物)には、重金属・農薬・抗生物質などもあります。また全然不正ではない理由でハチミツの中の花粉がろ過されているパターンもあります。

こういったものへの応用が今後の課題だそうです。

でも研究者たちはこの仕組みが「より早く・安く・確実に」、偽物を検出できるシステムになりうるとして注目しているんだとか。

なお、高度(高額)な手法としては、『ハチミツにレーザーを当てて成分を分析する』という手法がすでにあります。

これは欧米で導入されているそうですが、違法な成分が含まれているハチミツがハニーロンダリングで輸入されるのを阻止すべく、火星探査に使われる技術を持ってきたというかなり気合の入ったお話です!

全てのハチミツが疑わずに買える時代がもうすぐ来るかもしれませんね!

ハニウィキちゃん
今回のお話はここまで。
最後まで読んでくれてありがとう!

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